弊社は昭和60年頃、ノンガス、ノンオイルの今で言うオール電化住宅を創りました。 清潔、衛生、安全を考えたら、当時、とても経済的とは言えなかったのですが、オール電化にせざるを得なかったのです。その理由は前述の通りですが、当時の電力会社も迷惑そうな対応をされた事を鮮明に覚えております。
電気と言うエネルギーは、石油、石炭、ウランなどの燃料として燃やして作る貴重なエネルギーです。その貴重な電気エネルギーを、主暖房や主給湯に用いる事は、贅沢も甚だしく、短絡的で工夫が無さ過ぎると言う批判が多く寄せられました。
確かに今のような省エネの電気機器が全く存在しえない時代だったのですから、そのような批判も当然だったのでしょう。グラスウールで断熱し、ポリフィルムで気密をはかる方法では、ここに辿る事も無かったと思われます。
茅葺き屋根(かやぶきやね)
真冬の日本列島は、沖縄以外、暖かいところなど存在いたしません。北海道の寒さは誰もが知るところですが、一番暖かいと言われる宮崎県でさえ、暖房なしで冬を過ごす事など出来ません。これは気温が0℃に近くなるのに加え、湿度が極端に乾くからです。
真冬の北海道は湿度80%、日本海側の北陸でも60%、太平洋側では30%を切るような時もあります。しかし、これは相対湿度と言って、気温と言う湿度を抱える器の大きさで割合が異なっているだけです。
真冬の日本列島の絶対湿度(実際に空気中に含まれる湿気量)は、北海道も北陸も宮崎もそんなに大きな変わりはなく、快適絶対湿度7g/kgに対して、およそ2g/kg〜3g/kgくらいなのです。
空気が乾燥すれば、70%が水分だと言われる人間の身体から猛烈に湿気が蒸発しやすくなり、一緒に体温を奪うのです。逆に夏場は蒸発し易くする事が理想なのです。
つまり、住まいは、夏冬通じて一定の湿度に保持する事が出来れば理想的な環境となるのです。その調湿機能を自然現象で発揮していたのが茅葺き屋根(かやぶきやね)の家だったのです。
茅葺き屋根住居の内部
茅葺き屋根は夏場の一時期において、梅雨時期で茅葺き屋根の萱に溜め込んだ大量の雨水を、高い気温や太陽熱によって猛烈に蒸発させます。
この蒸発する際の気化熱(蒸発潜熱とも言うが、人間の肌に揮発性の高い液体を垂らすとヒヤッとするのは気化熱で体温を奪うから)で家屋内の熱を外部に放散させます。気密性のまったく無い茅葺き屋根では自然冷房の役割を果たしています。当然、住む人の身体からも体温を奪うために、気温が高くとも涼しく感じます。
乾燥する真冬には、茅葺き屋根から湿気を家屋内へ放出して調湿を行い、住む人の身体から体温を奪う事を防止する効果を発揮いたします。 茅葺き屋根は、開放の思想を大切にする日本の家屋の文化を、開放したままに、家屋内の調湿を行なって、冬暖かく、夏涼しく、四季を通じて快適な居住空間を保持していたのです。
この開放の思想を大切にしながらも、調湿を行いながら暖かい、涼しい、カビや腐朽菌がなく、高寿命の家づくりのヒントは、まさにこの茅葺き屋根に在ったのです。
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