高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2011.05.28

北海道新聞 「朝の食卓」 2011.05.28掲載

「とび職の定年退職」 福地脩悦

 45年間、一緒に仕事をしてきた社員が定年退職となりました。
私の原点は鉄骨とび職であり、彼は私のパートナーとして、ともに会社を創業した一人です。
 高所が苦手の彼は「登らないとび職」と言われ、高所作業する私たちを地上から支えてくれました。
彼や仲間と一緒に東京に出て、4畳半一間に4人で生活した時期には、工事現場から一足先に部屋に戻り、夕食の支度をするのも彼の役割でした。
仕事が鉄骨の建て込みから木造に切り替わっても彼は3メートル以上の高いところには登りませんでしたが、浅草で買ったシルク風でピカピカの地下足袋を履き、「良いでしょ」と自慢げな顔でした。
東京から一緒に上磯町(現北斗市)に戻り、会社の業態は住宅システムの研究開発へと変わりました。
技術系や事務系の社員が増えましたが、住んで快適な家かどうかを試すには実験ブースが必要であり、彼はその装置の骨格を造るのが仕事になりました。
地下足袋を履いたとび職姿で「現場が面白い」と言っていた彼。
私たちの仕事は、彼のような下から支えてくれる人によって成り立っているのです。
退職した彼は、足腰が弱りはしたものの時々会社に立ち寄り、赤ら顔のニッとした笑顔を見せてくれます。
その笑顔は東京の4畳半で暮らした時代と同じですが、足元はスニーカー。
どうやらとび職を完全に卒業したようです。