高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2011.08.19

北海道新聞 「朝の食卓」 2011.08.19掲載

「茅葺屋根の家」 福地脩悦

 私は幼心に母の実家が茅葺屋根だった事を覚えています。家の中央に囲炉裏があり、その一辺が「横座」と呼ばれ、家の主人が座ります。横座で火種が途切れないようにまきをたくのが祖父の役目でした。
 気性の穏やかな祖父からは、とつとつと茅葺屋根の話を聞いた記憶があります。茅葺屋根は大量の雨水を抱え、夏の暑い時、水分を蒸発させ家の中を涼しくし、真冬はこの水分で乾燥を防ぎ、人の身体から体温を奪うのを防いで、暖かくすると。
 囲炉裏では天井からつった棒の先に鍋をぶら下げてお湯を沸かし炊事をします。子供たちは囲炉裏端にちゃぶ台を持ち込み、まきが燃える赤い火で顔を赤く染めながら飯を食い、勉強をします。
 この囲炉裏端でけんかしては仲直りの仕方を覚え、爺さん婆さんの昔話を聞き、父や母から自然にしつけられ、家族が一緒になって喜びや悲しみを分かち合った-というものでした。
 さらにまきの煙でいぶされれば、茅葺屋根も家も腐らず、ネズミや虫も出ないといいます。その祖父が亡くなり、囲炉裏は煙突の付いたストーブへと変わりました。それから間もなく、雨漏りが始まりました。
 祖父の朴とつで優しい面影と、日本の伝統文化は、時代の渦に消え去ってしまうのか。私たちの家づくりは、先人たちが培った茅葺の思想にいつまでもこだわりたいものです。