高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2011.11.09

北海道新聞 「朝の食卓」 2011.11.09掲載

「不登校の女の子」 福地脩悦

 デパートで背後から「会長!」と声を掛けられました。今どき、自分を会長と呼ぶ人は誰かと思い、振り返ると忘れるはずのない顔が。傍らに女の子を伴っており「娘さん?」との問いに、うなずきました。
 かつて子どもが通っていた中学校のPTA会長を務めていた時、苦悩に満ちた彼女の父親から相談を受けました。かわいかった娘は、毛髪はチリチリ、暴走族とつるみ、交通違反や暴行事件を繰り返し、おとなしくなったと思ったら、不登校で一歩も家から出てこなくなったというのです。
 私自身も粋がって生きた時期があり、決して褒められた少年時代ではありませんでしたが、書物で「非行とは才能が歪んで具現化する行動」との文章を読んだことがありました。
 彼女の両親や先生とも相談し、「彼女に大きな才能が潜在している」と説き、彼女を心から信頼し、優しく接するだけで、静かに見守ろうと誓い合いました。
 2週間後、彼女は普通の中学生の姿で登校し、先生や生徒から大歓迎を受けました。その帰り道、学校の隣の弊社に父親と一緒に立ち寄り、私の顔を見るなり「会長!」と駆け寄ってきました。彼女の瞳からあふれた涙は真珠のように見えました。
 あれから20年、娘の頭をペコンと押してあいさつを教える彼女の姿に、非凡な母親の才能を見た気がします。