高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

工事ミス・トラブル

床下浸水やアルミサッシの歪みなど

2014.02.25

吹き抜けに面した壁がカビ臭い

質問者/山形県山形市・KTさん(32歳・男)

 木造在来工法で住宅を新築し、10月から入居しておりますが、2ヵ月余り経った12月末あたりから、吹き抜けに面した壁がカビ臭いことに気づきました。どうやら腰高の窓あたりを中心に匂いがするようです。壁材は構造用合板です。朝方、その窓に結露や凍結が発生していたところをみると、気密性に問題があるのかと思います。蓄熱電気暖房を使っていますが、この吹き抜け部分はなかなか温まりにくく、夕方以降は20度にも達しない状況です。スースーと冷気が流れるのも感じられます(近くにある24時間換気の吸気ファンのせいかもしれませんが)。
 名の通った業者ではありませんが、ネオマフォームの外断熱仕様で、サッシもアルゴンガス入りLow-Eペアガラスを使っており、数値(C値、Q値、K値)的にも次世代基準を十分にクリアする高気密・高断熱住宅のはずでした。にもかかわらず、こんなに早く壁内にカビが発生するのは、どのような原因が考えられるものなのでしょうか。また、壁内の状況を確認するには、どこにお願いしてどのような方法で調べればよいのでしょうか。新築なので、できれば壁紙をはがしたりはしたくないのですが…。
 ネオマフォームはとても優れた断熱材です。しかし、どんなに優れた断熱材でも樹脂断熱材を外断熱として用いる場合は、より慎重な施工技量を要します。Q値はK値とC値(換気量も含む)の合計で算出します。
 このK値も断熱材の熱伝導率がもとになっての計算で算出しますので、どのように施工したかが反映されません。計算上の次世代基準でも実際に熱を負荷した場合、その数値と大きく異なる場合があります。
 本件の場合、Low-Eペアガラス使用とのことなので、C値(隙間相当面積係数)が大きく関わっていると思われます。寒さ対策は何といっても気密性能が大きく関わります。隙間があれば暖かい空気がドンドンその隙間から放出され、冷たい空気と入れ替わります。そして冷たい空気は人間のいる床付近に停滞します。蓄熱暖房器は、その冷気で冷やされ夕方には熱ロス状態となったものと思われます。
 隙間の多い家には、その隙間から湿気も放出されて結露が発生しにくいのですが、それ以上に湿気の量と露点温度以下の低温部分が多いのだと思われます。蓄熱暖房機が熱ロスを起こすと、露点温度部分が多くなります。
 新築初年度、特に本件のように秋遅くに竣工した家においては、木材、建材の含水量が多く、また工事中の雨水などが家の中に含有されており、その冬に結露状態となるのも不思議ではありません。少なくとも来年の冬の結露は、今年よりかなり緩和させると思われます。
 換気システムもせっかくの気密・断熱なのに、吸気ファン? …住宅に吸気換気はほんとんど使用されておりません。吸気だったら排気口や排気ファンも必要です。いずれにしても山形なら、熱交換式換気扇を用いて換気廃熱を回収すべきです。平成16年より施行された換気法で、基準法の法令をクリアするため、換気量の多い、第三種換気(排気式換気で日本の多くの換気システム)が採用されるようになりましたが、途方もない多量の冷たい空気を導入する場合もあります。その換気で導入した冷気も要因となっている場合もあります。
 外断熱の場合、内壁が室内の温度に順応しているため低温部分が出来難いのですが、施工精度にも課題がありそうです。とにかく、露点温度部分を少なくするには、蓄熱暖房器の容量を大きくし、内側からシールなどで隙間を埋め、換気を熱交換式に替えるなどの対策法があります。カビ臭さは、カビの胞子が浮遊しているものと思われ、住む人にも大きな影響を与えますので早急に対策を講じたほうが良いと思われます。