高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

結露と換気の問題

窓の結露や壁のカビ、床下の換気の悪さなど

2022.01.20

気密断熱住宅内の猛烈な負圧について

質問者/静岡県掛川市・UHさん(会社員・47歳・男)

 過去、鉄骨の住宅を建てて気密が悪く非常に寒い思いをしたので、今回は、気密断熱に注意して建築しました。木造で外断熱です。外壁、屋根、床下に全て 50ミリのポリスチレンフォームを入れました。サッシはS社のプラスチックサッシ、硝子は二重硝子のLow-eです。気調はN社の熱交換型エアコンです。当初の気密テストでは0.7cm2/m2でした。しかし、風呂場とか台所で排気専用換気扇をつけたため、熱交換型換気扇より、使用していないときに外気が侵入してくるようになり、ダクトの中に気密シャッターを取り付けました。そうしますと次に、引き違いのサッシより入るすきま風が気になるようになり、引き違い全てにインナーサッシを取り付けました。そんなわけで局所換気扇を使っていると猛烈な負圧となってしまいます。
 寒い地方では、このような猛烈な負圧に悩まされることはないのですか? また、そんなときには、どのような対処をしたらよろしいのでしょうか。
本件の場合、気密性能が0.7cm2/m2とはかなりハイレベルの性能です。この住宅でガス燃焼させますと、一般のレンジフードでは約800m3もの排気を行います。これは、1時間あたり、8畳間27個分もの空気に相当しますから、負圧になるのは当然です。浴室はせいぜい200m3と思われますので、これは問題ありません。しかし、このまま、浴室と台所のレンジフードを同時稼動させますと、浴室の換気扇が台所の換気扇圧力に負けてモーター加熱を起こす場合があります。
 対策としては、できれば電気式のクッキングヒーターにして、換気量を300m3程度に落とすことです。また、ダクトの中のシャッターは必要ありません。確かに熱交換式のエレメントを潜って外気が侵入します。しかし、全体に冷気が分散するため不快感になる冷気侵入にならないし、また、そのくらいの吸気量が必要なのです。
 しかし、それでも負圧が気になる場合は、吸気分散方式といって、40m3程度の吸気口を数ヵ所ほど取り付けます。断熱防音された吸気口が市販されていますし、侵入冷気が分散され、周辺の温度に吸収されますので、これも不快感を覚えることはありません。
 本件の住宅性能で、気密性能が高いわりには屋根の断熱性能が頼りなく思います。静岡県でも屋根断熱は、屋根材の下に自然通気層60ミリ以上を持ち、スチレンフォームで最低80ミリ以上欲しいところです。ちなみに引き違いのインナーサッシは気密性能の向上にほとんど貢献しておりません。