高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

その他の問題

虫や騒音、振動など、その他の問題

2021.10.15

新築で大量の蟻出現

質問者/北海道北見市・M.Mさん(自営業・35歳・男)

 昨年秋に新築しましたが、数日前より大量の蟻(黒い蟻)が出始めて困っております。自営業で店舗なのですが、床から壁まで大量の蟻でとても非衛生的で困っていますし、何よりお客さんにご迷惑をお掛けします。小さいお子さん連れの方などは特に気持ち悪がりますし、心配します。

 このことを設計士事務所に伝えたところ、「蟻のことまでは瑕疵に当たるか判断できないのでコメントしようがない」とのこと。施工会社は床下を少し見ただけで「うちの基礎の施工は完璧なので、もし問題があれば建主側で専門会社に駆除を依頼して対処してくれ」とのこと。しかし、来てくれている建築関係にお勤めのお客さんの中には「建てたばかりなのに大変ですね」「どこの施工会社なの?」「新築でこれはあり得ないから、施工会社に言って駆除依頼や隙間のコ-キングを急いでやってもらいなさい」とのお言葉も…。

 私共は素人なので、どの意見が正当なものかわからないのですが、あまりにも蟻の出方がひどいので、お客さんとの信頼関係を損なわないため、とりあえず急遽、施工会社に駆除の専門業者を依頼し、駆除作業をしてもらいました。しかし、施工会社は駆除作業を見届けることなく、費用もそちらで負担してくださいと、さっさと帰って行きました。

 施工会社との間に入ってくれている設計士さんは、「施工会社とはいい信頼関係を築くことが得策ですよ」といいますが、そもそも信頼関係とは、相手の困っていることなどを真剣に考えてくれて、それに真摯に対応してくれて初めて築けるものだと私は思います。起こっている原因も対応策も真剣に考えてくれない相手と、どうやって向き合えばいいのか甚だ疑問です。

 このような状況ですが、新築まもなく起こる害虫問題に関する責任の所在に関しまして、さまざまな状況の問題、違いはあると思いますが、社会通念上の考えを第三者的視点で教えていただけましたら幸いです。
 質問者のお困りの様子がとてもよく理解できます。黒アリの出没は、新築まもない住宅でもよく発生する事象ではあります。
 残念ながら、どのような工法で施工されたのかが、この文書では確認できません。したがって、施工者の責任を問えるどうかを断定するのも困難です。

 白アリと異なり、黒アリの場合は、特に公な規制などが構築されていないのが実状です。 また、黒アリはあらゆる場所に生息しており、蟻道(ぎどう)部分に住宅をつくったのが要因と思います。黒アリが安住していた生息地に、我々の住宅を新築したのだともいえます。

 対策としては、蟻道を辿って蟻の巣を薬剤駆除したり、蟻道を薬剤で遮ることが可能です。内部に入った黒アリも薬剤散布で駆除することができます。白アリと異なり、黒アリは木材などを食い込むような状況に至らないので、表面に見える黒アリを対処駆除を行っていれば、次第に寄り付かなくなります。最近では、黒アリの場合、安価で手軽に駆除できる薬剤も市販されるようになりました。 黒アリの場合は、そのように自前で駆除することも不可能ではありません。

 設計士さんが言うように、施工業者とは、竣工後の付き合い永劫に続くような環境が必要です。
事あるごとに、施工屋さんが相談に乗ってくれるのが望ましいのは言うまでもありません。 本件の場合、黒アリ対策について、もう少し親切に対応していただきたっかのでしょう。また、黒アリ侵入を施工責任にされたら困るという、施工者の困惑ぶりもうなずけます。

 黒アリ対策は、人や小動物に対する影響度合いを極力少なくした黒アリ処理の薬剤で、わりと簡単に対処できます。したがって、施工者側も、建主側もそんなに大きな出来事として捉えるのでなく、最初の時点で簡単な処置で対応できたと思われます。また、これからでも遅くはありませんし、駆除しても数年で再び出没する場合がありますので、その都度、対処すべきと思います。