高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

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2021.10.22

湿気・カビに悩まされて… 2008.11.21掲載分

質問者/神奈川県・はなまる さん

今回こちらのホームページを拝見して、住まいについての疑問等すごく勉強になっています。素人の私には専門書を見てもなかなか理解ができず、このようなわかりやすいホームページを探していました。ぜひアドバイスいただきたいと思い、メールをさせていただきました。
 平成5年築の木造3階建て賃貸アパートを、平成14年12月30日に(1階部分1世帯のみ約68平米3LDK全て洋室フローリング)を2人で借りました。内見したとき、全室にあるクローゼットの異様な臭いと湿気を感じました。不動産の人曰く、約8ヵ月、空家状態で雨戸も閉めていたため換気をすれば問題ないだろう、ということでした。ちなみに以前は大家さんが住んでいたそうです。私たちはまだ引越しの荷物が届いてない状態で、敷布団をリビングに敷いて寝ました。もともと設置してあるのは、掘りごたつのみ。すると入居した次の日に朝起きたら、敷布団の裏がべたべたに濡れていました。びっくりして不動産に連絡したところ、空家だったから換気をして様子を見てくださいのことでした。外に回り、換気口を見てみたら、猫の毛等が詰まっている状態でした。それらを自分たちで取り除き、その後もとにかく換気・掃除に気を使いました。
 しかし、床からの湿気はあるし、クローゼットの臭いはするしで、クローゼットも開けっ放し状態、フローリングもすごくひんやりしていました。様子を見ても一向に良くなる気配もありませんでした。私たちは不動産に言われるように、泣く泣く換気と掃除をし続けました。3月末頃、他の部屋を使用してみようと洋室にゴザを敷き、ベッドマットを置き、寝ていました。1週間後、ベッドマットを上げてみると、ゴザが真っ黒の状態で、マットもカビだらけになっていました。この状況を説明したら、そろそろ梅雨の時期になるから床下換気扇を付けましょう、ということになりました。5月にここを建てた工務店が来て、付け方の説明では、換気口は全部で9ヵ所あり、その内、北東側の4ヵ所に床下換気扇を取り付け、南西側の換気口から吸気させるというものでした。全て外からの取り付けでした。効果が出るまで1~2ヵ月、徐々に良くなるので様子を見てくれといわれました。
 その後も湿気の状態は変わらず、6月末頃、それどころか全部屋、クローゼットにかかっていた衣類、タンスの中に入っていた衣類、フローリング床に白い斑点、床の上に置いてある家具、その家具の下、床に面しているところから次々カビだらけになりました。掃除しても掃除しても手に負えないくらいでした。洗濯しても、またカビる…。毎日がカビとの戦いでした。衣類などのカビはとにかくすごい状態でした。部屋、クローゼットの匂いもすごく、このあたりから私の体調に変化があったことに気がつきました。鼻がむずむずし、風邪もひいていないのに咳が出続け、皮膚が痒くなり、顔にまでボツボツ赤く出るようになりました。自分の大切なものが次々カビるのが、正直、精神的にもきていました。本当に苦痛の毎日で、カビの臭いがすると怖くて寝ることもできず、カビを探しました。洋服がカビるという話は聞いていましたが、今まで体験したことがなかったし、衣類のカビの生え方も異常、衣類だけでなく、かばんや帽子、家具やパソコン等にまで本当にショックでした。
 この間、何度も不動産に来てもらい状態を見てもらいましたが、「大家と工務店が来て床下換気扇を4台も付けたし、万全な状態だ。湿気はないはずだし、カビが生えるほうが理解できない。私たちが住んでいた頃は何もなかったし、湿気もなかった、換気の仕方が悪いのでは…」と言われて、私たちも何も言えませんでした。納得はいきませんでしたが、専門家が言うのだからと…。
 しかし、状態は変わらないし(賃貸だから状況報告だけはちゃんとしていました)、私たちはなぜ床が湿っぽく、次から次へとカビが生えるのか、とにかく原因を調べて欲しいと依頼しました(夏でも部屋はひんやりしているためクーラー要らずでした)。それでもそんなはずはないと言われ、まともに考えてくれないのです(現状をみていても)。ただ納得できず、9月に床下無料診断というのを知り、大家に了解を得て業者に来てもらいました。
 台所の床下収納から床下に入ってもらいました。しかし、台所から他の部屋に行く通り道がなく、先に進むことができず、それ以上判断することができませんでしたが、床下の土はかなりの湿気ということでした(雨が降った土みたいな感じでした)。フローリングの板は薄く、下の面には多くのカビが付着していました。
 その後、大家と業者との話し合いで基礎のハツリ工事をすること、調湿剤を入れるということになり、まずはハツリ工事をして中の状態を見ることになりました。すると、全ての部屋、廊下、各部屋のクローゼット、トイレ、すべてが基礎コンクリートで仕切られており通気口もなく、通気が遮られている状態でした。台所の下と同様、他の部屋下の土もかなり湿っていて、板にはカビが付着していたそうです。白蟻の道もあったそうです。ちなみに、アパートの外は塀でおおわれています。内基礎ハツリ工事は結局8ヵ所行われ、調湿剤は560キロ敷き詰めました。2~3ヵ月また様子を見てくれと言われましたが、すぐには効果が見られず、リビングにある床に直接置くソファをずらすと、ソファの形で濡れていました。私は病院でカビ・アレルギーと診断され、これ以上被害にあうのが耐え切れず、その後、退去することにしました。
 今年の2月からまた新しく入居されてる方がいるそうですが、その方も大家と同様、湿気・カビ等、何もないとおっしゃっているそうです。今思えば、鍵をもらい、初めて部屋に入ったとき、全部屋の床下は真っ黒い汚れ(細かいすすのような汚れ)でおおわれていて大掃除しました。あと、入居してすぐに2人とも原因不明の咳に悩まされました。
 今振り返ると、入居当時からの異常な湿気、臭い、カビの原因は何だったのだろう? 5月の時点で床下の原因も調べることもなく、床下換気扇を付け、工務店の話していた説明は正しかったのか? 空気の流れないところの床下換気扇の設置は適切だったのだろうか? 初めから床下の状態を調べておけば、私たちの被害も少なくてすんだのではないか? 入居したときの状態で、私たちができたことは何だったか? 入居当時いったい何が原因だったのか? そして、私たちが入居する前と今現在は、何もないということは?
 考えられることがあれば、アドバイスいただきたいと思います。今は引越しをして、湿気もなく快適に過ごしています。体調も絶好調です。いまだにトラウマになってクローゼットは開けっ放しですが。床下の状態、基礎がいかに大切であるか、家は住む人の健康状態まで変えるということを、今回のことで身をもって知ることができました。本当に無知でした。
 今後、家を買うときに同じことにならないためにも、考えられた原因等、アドバイスいただければ幸いと存じます。細かい経緯は抜けていますが、取り急ぎ要点だけまとめました。
 お忙しいと思いますが、よろしくお願いいたします。トラウマが早く直りますように…。
大変なご経験をされましたね。
 まず、地下水面位といって、地盤面のすぐ下まで地下の水位が上がっている地盤であったものと思われます。そのような地盤に、縦横に布基礎で間仕切りが施工されていたものです。いずれにしても時間の問題で、大家さんもカビの被害に遭われたことと思われます。大家さんが8ヵ月の間、閉めきりにしたことで一気に床下のカビが増殖したものと思われます。このような基礎の場合、床下換気扇を取り付けても、家の中央部分が通気しないため、効果が現れなかったものと思います。床下の基礎に通気口をたくさん開けて、中央部分の通気が良くなったとしても、壁の中や床部材の内部にたくさんの湿気が停滞して、カビが除去できていなかったものと思います。
 抜本的な対応策としては、床下全体の通気を促す工事を行うとともに、地下からの湿気を止めるために、床下湿気防止のポリフィルムの敷設が行われたかどうかが、記載されておりません。それでも、調湿剤を大量に敷き込んだことで、かなりの改良が見られるはずですが、床部分の断熱材や壁の中の断熱材が湿気を抱えたままになっていたものと思われます。
 質問者が退去したあとに入居されたときは、大量に敷設した調湿剤で、壁(床下付近)の中や床断熱の湿気がかなり除去されたものと思われます。しかし、地下水面位の上昇を防ぐ施工が未完成の場合、調湿剤もいずれ飽和状態となり、質問者が遭遇したようなカビ問題が、また再発することが十分に考えられます。
 新築をするときは、外の地盤面より床下の地盤面のほうを最低150ミリ以上は高くすることと、床下の通気が東西南北に抜けるような構造にすることが肝心です。質問者が入居されたタイミングは、まさに最悪の時で、本当に気の毒な体験だったと思われます。退去されたことは賢明な処置であったと思われます。
 しっかりとした見識を持った設計施工を行うと、このような問題は起きません。早く、トラウマから解放されることを願っております。