高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

結露と換気の問題

窓の結露や壁のカビ、床下の換気の悪さなど

2023.07.31

居室でない地下室(倉庫)の換気と結露、施工会社の説明責任について

質問者/sunapon5119

今春にRC造地下室付きの建売新築一戸建を購入しました。

段差のある土地に建築された家なので、地形の関係から地下階の一面が外部に面しており、地下階は8畳の洋室が1室と居室使用できない12畳程度の倉庫ですべて内装が居室と同じように仕上がっています。
洋室には第3種換気の吸気口と窓、倉庫には個別換気の給排気ファンが設置されています。

今まで倉庫に入った時には「涼しい」「湿度が少し高め」くらいの認識しかありませんでしたが、梅雨時に入り倉庫内の巾木に結露が発生して床面に水が垂れ、また巾木付近の壁紙に少量のカビが発生しました。
倉庫に収納していた布製の家財はカビで使い物にならない状態です。

慌てて地下室結露の発生の仕組みを調べると、外気の取り入れに問題があり結露防止のための換気が逆効果である旨の記述を多数見受けました。
そこで地下室特有の夏型結露の可能性があると判断し、「結露発生の原因と、地下室設計施工時の結露・カビ防止対策の有無」を施工会社に問い合せました。

返答としては、
 ・スタイロフォームでの断熱施工をしている
 ・コンクリートの水分放出で5年以上は高湿度
 ・返答者の自宅(RC造)でもクローゼットや納戸でもカビが発生する
 ・除湿機の運転をして下さい
と言われました。

断熱施工をしたにも関わらず巾木(低温度)が結露するのは、やはり給排気ファン運転の外気取り込みによる夏型結露か断熱不足なのでしょうか?
給排気ファン運転が原因の場合、施工会社の方でそれが結露発生に繋がると予見出来ないものなのでしょうか?

ちなみに引渡し時には倉庫内の給排気ファンについて「酸欠の恐れもあるため、常時運転させてください。」と説明を受けただけで、湿度や結露に関しては一切触れられていませんでした。
施工会社の方で、高温多湿な外気の取り込みとコンクリートの水分放出で高湿になることでの結露発生が予見できて、ビルトイン除湿機等の設備を設置せず、引渡し時にも特に説明がないというのは説明責任を果たしていないと思います。

そもそも換気が必ず必要な地下室で、その換気が原因で夏型結露が発生するのであれば、建物の設備としての除湿機が標準で設置されているべきだと思うのですが、この考えは間違いでしょうか?
家屋の設計には露点温度を意識した構造にしなければなりません。
気温が20℃で湿度が50%の時の露点温度は9℃なので、9℃以下の部分に結露を生じさせます。同じ20℃で湿度が80%の露点温度は16℃、わずか室温より4℃低い部分に結露を起こします。
換気が逆結露になる場合、現在のようなに80%もある多湿の外気を引き込むために、数度低い部分に凝縮結露を起こすからです。
結露を防ぐには、低温部分をつくらないようにするか、湿度を上げないようにするかの対策が必要です。
本件のような地下構造になっている場合は、コンクリート水分は数年経過しても抜けない場合があります。
ドライピットと言って、地下部分の地下接触部に乾燥エリアを設ける事が最善の方法です。
本来は、最初からこのような対策を行うべきでしたが、当然ながらかなりのイニシャルコストがかかります。
本件の質問のように、地下室の場合は最初から湿気除去の仕様で設計をすべきですが、上記のように全く、問題が発生しない物件もあります。
また除湿機を設置する場合は、その排水にスライム現象といって、ドレンパイプ(排水管)ヘドロ菌が付く事もあります。そのような課題をすべて取り除くにはかなりのイニシャルコストが試算されたのでしょう。
スチレンフォームの断熱材で露点温度を回避出来ると判断されたものと思われます。そのような対策で結露が発生しない現場も多くあります。
これは敷地の地層や地下水脈、地下水面位などで問題が起きない場合もあるからです。
室内の絶対湿度を下げるためには、除湿機が有効ですが、合わせて扇風機を回して低温部分に対流風を吹き当てると効果が身に見えて判ります。
お手持ちの扇風機だけでも、結露が放散して温度も均一化するためかなりの効果がありますので、すぐにでもお試しください。