高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

工事ミス・トラブル

床下浸水やアルミサッシの歪みなど

2011.05.18

倒れても起こすことが出来ない蓄熱暖房機

質問者/みー。

3月11日の地震で蓄熱暖房機が倒れました。
倒れたのは震災なので仕方ないと思っています。ですが、倒れた暖房機からはわずか10分程度できな臭い匂いが漂ってきました。
その時点で電話は不通で、断水で水も出ません。
火事になる危険を感じ、近所の人に手伝ってもらって(5〜6人で2時間がかり)で起こそうとしました。しかし300キロ超の暖房機は持ち上がらず、ようやく持ち上がったと思ったら外側の金属がはがれて真っ赤に焼けたレンガか顔を出しました。たまたま近所の電気屋さんがいたので、電気工事の時に使う巨大な挟むものでレンガを1つ1つ外に運び出してなんとか火事は免れました。もちろん、暖房機は完全に破壊です。
電話が復旧し、そのことを暖房機のメーカーに連絡しました。しかし様子を見に来ることもなければ、こちらから連絡しなければ向こうから連絡を寄こすことも一切なし。三度目の電話で様子を見に来たと思ったら(5月のことです)名刺さえ持ってこない。
そんな誠意の見えない対応に苛ついていたんですが、問題はそのメーカーの言い分です。
こちらは震災だから倒れたのは仕方ないとしても、倒れて起こす方法がないのはおかしいのではないか? それは企業として責任を取らなければならないことではないかと尋ねました。しかしメーカーは「蓄熱暖房機は倒れることを前提にして設計されていません」と答えます。だから、倒れても起こすことを考えていないと言うのです。しかし、倒れることはメーカーとしても認識しているようです。事実今回の震災でかなりの数の蓄熱暖房機が倒れているそうですし、「倒れないとはいえません」と言います。
しかし倒れることを前提に設計されていないから倒れた時に起こすことは考えていない、責任も取る気はないと言い切ります。そしてそういうリスクを承知で買ったのだから自己責任だと言うのです。蓄熱暖房機は買った時点でお客の財産だからその管理は顧客の責任。倒れても知らないというのです。
倒れることを前提に設計されていない暖房機を倒れるリスクを説明して販売しているとは思えません。事実、購入時は300キロもあるのだから倒れないと言われて床や壁の補強もしました。
倒れた時に起こす手段なり方法を考えるのは企業の責任ではないでしょうか? たまたま今回は火事が起こらなかったとしても、暖房機が倒れたら起こせないのは問題があるのではないでしょうか?
こんな筋の通らない企業にきっちりと責任を取らせたいです。どうすれば1番いいでしょう。
当方は昭和60年からグループも含め、既に12,000台もの蓄熱暖房機を使用して参りました。
その間、奥尻沖地震、阪神大震災、中越沖地震、中越地震、そして今回の東北大震災の地域にも蓄熱暖房機を使用した家が存在していました。
しかし本件のような問題を起こした蓄熱暖房機は1台もありませんでした。

本件における蓄熱暖房機メーカーの対応については決して適切だとは云えず、質問者のお怒りには心よりご同情申し上げます。

蓄熱暖房機は、設置段階の下地構築(床補強と壁補強)の際に様々な要件が伴います。
このような設置方法についてはどこのメーカーもかなり詳細な資料を配布しております。
これは、メーカーと家づくりを行う工務店、設置設備店との連携が不可欠な要素となります。

蓄熱暖房機には、相当に頑丈な転倒防止のブラケットが付随しておりますが、これを受け止める壁側の強度が必要です。
どこのメーカーもこのような設置計画書から施工法までマニュアルは整備してあります。

また万一、倒れた場合、レンガが冷めるまではそのままにしておく事が原則となっております。
加熱されたレンガは、倒れても散らばらないような強度のケーシングに囲まれている事が前提となっております。
本件においては、現場でレンガを積み上げ、ケーシングで囲った時の施工状態も確認事項のひとつとなりそうです。

本件の問題は、このようなメーカーと工務店、設置設備店との適切な連携が出来ていたかどうかです。
これはメーカーが中心となって、工務店、設置店、そして建主さんへの使用法をしっかりとレクチャーする事も含みます。

特に、今回のようなトラブルに遭った時は、その対応法を誤れば大事故にもつながるため、使用する施主様への大切な説明責任が欠落していたように思われます。
本件の問題提起は、蓄熱暖房機を扱うものにとって、安全安心を推進するために、今後の参考になる事でしょう。