高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

家の外回りについて

外壁や屋根のデザイン、土地の水はけなど

2013.02.20

隣接地間擁壁の必要性について

質問者/愛知県名古屋市・Nさん(38歳・男)

 建築予定地の敷地の高低差が、道路面から2メートルぐらい。北間口の長方形の土地に建設を予定しています。
 隣接する両側の土地はすでに建築済みで、自分の土地は北側に駐車場を5メートルほど取り、その南側に木造2階建てで建築する予定になっています。東西両側のすでに建築してある敷地も、自分の土地とほぼ同じ高さです。
 これから自分の敷地内において、一部土地を切り取り、駐車場部分と建物部分の間に擁壁を設けることになります。これが必要なことはわかりますが、西側に隣接する土地との間にも、つまり上から見ると、L字型の擁壁が必要だと、設計者から説明を受けました。
 西側の土地については道路面よりビルトイン式のコンクリートの車庫を設置し、その上に家が載るような形で建築がなされています。境界近くはコンクリートの擁壁があり、その横にコンクリート造りの階段があり、その横が車庫になっています。
 一方、私の敷地と東の敷地はもともと同じ1筆の土地で、分筆し、東の土地が先に建設がなされました(玄関が私の方向<西>にあり、境界面については、道路面より2メートルから3メートル切り土をしてあります)。私も、この玄関に向き合うように入り口をつくることになります。この境界については、等高であるので擁壁は必要ないのです(つまり東側の土地は間口部分は切り土をしてあるので、擁壁をする必要はありません) 。
 東側の敷地はすでに境界のところが道路面と同じようになっていますが、西側は境界に沿って擁壁が5メートルほどあり、その横にコンクリート製の階段、そしてコンクリートの車庫となっています。
 この擁壁については、切り土により道路側から奥に2メートルぐらいは見えた状態で、この擁壁に沿って私の敷地内で擁壁をつくることになるとの計画。しかし、下のほうは全てコンクリートの擁壁になっているかはわからない(試掘はできないとの工務店の回答でした)。階段に沿ってコンクリートが入っていると思われるが、実際に作業をしながらしか、見ることができない。よって、2.2メートルの高さで西側の敷地に沿って引き続き擁壁をすることが、土砂の崩れを防ぐことと、壁の汚れが見えないということになる。だから、このような設計になっているらしいのです。
 隣地も道路面からの数メートルは擁壁があるので、その壁を受けるように自分の土地に擁壁を受けることは必要ないような気がするのですが、知識がなく、わかりません。また施工上、隣地の擁壁があるため自分の土地の中で控えて施工するので、自分の擁壁と隣地の擁壁との間に土砂を埋め戻す形になります。結果、控えることで間口がずいぶん狭くなることが考えられます。隣地との間の擁壁については不要ではないか、と疑問に思っているところです。隣地との間には、目隠しの必要があるので、2段のブロックとアルミのフェンスを考えています。
 私の疑問としては、試掘ができないかということと、擁壁の一部は露出しているので、境界の擁壁はもう少し低いもの(擁壁)にならないか、あるいは、なくならないかということです。擁壁の図面を添付しましたので見てみてください。
 確認申請も済み、工事前日に初めて擁壁図面を見せられたので、正直言って工務店の説明が信頼できず、しかし早急に判断しなければなりません。擁壁については確認申請の中に入っているのかはよくわかりませんが、変更すると確認申請の再度提出などコスト面について増額が考えられるのでしょうか。よいアドバイスをお願いします。

 つまり、西側にビルトイン方式(地中に埋まった)の車庫あり、その外側(質問者の敷地側)に擁壁が存在するということだと思います。本件の問題の一番のポイントは、西側の持ち主とのヒアリング状況がまったく記載されておりません。西側の敷地の持ち主の擁壁を活用したいのであれば、何らかの交渉が必要です。
 工事を計画した段階で、西側敷地の持ち主に、事情を詳細に打ち明け、協力を得る努力を行ったのでしょうか。文書によりますと、すべて業者任せのように思えます。新築して居住し、隣地とは一生の付き合いがはじまるわけですから、この打ち合わせを最優先にすべきなのです。
 現在の状況は、西側地主と交渉を行っていないため、当方の敷地にあらためて擁壁を設置するような計画です。本件のような擁壁を設置するには、確認申請の変更手続きが伴う場合もありますし、当然ながら施工費用も相当かかると思います。さらに、自分の敷地を狭くすることにもなります。
 本件の問題解決のためには、業者任せでなく、質問者が自ら行動し、隣地地主さんの協力を取り付け、住居してからも友好関係を維持するように、現在の段階から心情環境を整備する必要があります。隣地地主さんとの交渉は、自分の都合だけを主張したら決裂しますので、相手の利益に供するような提案も提供すべきなのです。
 とにかく、西側擁壁を活用させてもらう努力を行うことが先決です。理解を得られれば、試掘もさせていただけるでしょう。もし隣地擁壁を活用するにあたり、試掘の結果、強度的に問題があったら、補強工事を行います。また、道路との設置面で隣地との敷地取り合いのための工事が出てくるでしょう。これを質問者の費用で行うのは当然です。また、ブロックやフエンス施工も、隣地地主の利益にかなうような折衷案を提示すべきでしょう。
 本件は業者任せにして状況推移した典型的な事例です。質問者が誠意をもって隣地地主さんと交渉することが、問題解決の大きなステップとなるでしょう。